フィンランド人の生き方はシンプル!
この本は、フィンランドで生まれ育った著者のモニカ・ルーッコネンさんが、日本人に向けて、フィンランド人のスタイルや考え方を紹介している本です。
「何かを得る、所有することによって幸せになろうとする」のではなく、「いまあるものを大切にする」「いまある幸せに目を向ける」という著者の考え方に、私も深く納得しました。「仕事、家事、育児、いろんなものを抱えすぎて疲れたよ、忙しくて余裕がないよ」という人に読んでほしい一冊でした。
この本では、合計55項目に分けて、フィンランド人の考え方や、生活をシンプルにする具体的な方法が紹介されています。その中から、特に心に響いた3項目をピックアップして紹介したいと思います。
①クジで100万ドルが当たったら
あなたなら、1億円の宝くじが当たったらどうしますか?
「宝くじが当たったらどうしよう」「宝くじ当たらないかなあ」と考えることが私にもあります。なんとなく、当たったら人生が変わって、幸せになれるような気がしませんか。それに対し、著者はこのように言っています。
中には、100万ドルが手に入ったら生活をすべて変えたいという人もいるでしょう。そのように思うのは、自分の状況が不幸だと感じているからではないでしょうか。そういった人たちは、いまの生活で幸せを感じられるように、積極的に自分の人生の見方を変えていくといいでしょう。
『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』モニカ・ルーッコネン(2016)ダイヤモンド社(90)
宝くじに限らず、「~だったら幸せになれるのに」という気持ちは、いまある日常の中の幸せに気付けていないということの表れかもしれません。
しかし、著者が言うように、「状況を変える」のではなく、「人生の見方を変える」、これだけで良いのだと思います。幸せになるために、何もかもを得ようとする人生はつらいです。上には上がいますし、足りないということに目が向いている間は、いつまで経っても満たされることはありません。
②完ぺきを目指さない
これは「家事を楽しくする3つのポイント」という項目の中に出てくる言葉です。
フィンランド人は、家で過ごす時間を大切にするそうですが、筆者はこのように言っています。
完ぺきを目指すばかりに、あとまわしにしたり、まったく手をつけなかったりすることもあるでしょう。でも、完ぺきを目指さない場合はどうでしょう?素晴らしく開放的ではありませんか?(一部省略)勇気をもって完ぺきを目指さないこと!完ぺきな家を完ぺきにそうじしないこと。チリひとつ落ちていない家よりも、もっと大切なことが人生にはあるはずです。
『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』モニカ・ルーッコネン(2016)ダイヤモンド社(105-106)
これは家事に限らず、仕事や趣味、子育てなどにも言えることだと思います。完ぺきを目指そうとする気持ちは素晴らしいですが、それが行動を起こす時の心理的ハードルを上げてしまうように思います。
完ぺきではなくても良いと思えるだけで、肩の荷が下りる気がしませんか?
③美しく咲く椿に気付く
この項目こそ、「いまあるもの幸せに目を向ける」ということを表していると思いましたので紹介します。
目を見開いて立ち止まることによって、はじめて魔法のような美しさを感じることができるのです。自然の美しさや神秘を見るために、わざわざ外国に行く必要はありません。私は、日本の真冬の雪の中で、美しく咲く椿に出会える素晴らしさを知っています!
『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』モニカ・ルーッコネン(2016)ダイヤモンド社(38-39)
私たちは、美しいもの、幸せ、必要なものがすべて自分の周りよりも外側の世界にあると思い込んで生きているような気がします。欲しい欲しいと求めているものが、実は自分の周りに既にあって、ただ気付いていないだけ。あなたはそこに目を向けられていますか。
この本では、そんなことを問われている気がします。
必要なものはすぐそこにある
わたしたちは、「あれが必要、これも必要」とあくせく走り回って、自分で自分を忙しくしているような気がします。この本には、本当に自分に必要なものが何かを明確にし、生活をシンプルにして楽しめる考え方がたくさん詰まっています。そして、必要なものは意外とすぐ近くにあるということに気付けるかもしれません。ぜひ、一度読んでみてはいかがでしょうか。